【井上 萬二展】人間国宝が遺した白磁【安心堂沼津店】

2025.12.29

こんにちは、安心堂沼津店です。
年明け1月に【 井上萬二展 】を二週にわたり開催いたします。

2026年  1月10日(土)11日(日)
      17日(土)18日(日) 4日間開催

ここでは「井上 萬二展」に先駆け、数回にわけて
改めて白磁の魅力と井上萬二の手仕事について触れていきます。

そもそも、「白磁」(はくじ)ってなに? 

「陶磁器」という言葉をよく耳にしますが、
これは焼き物全般を総称した呼び方で、原料の違いで「陶器」と「磁器」に分けられます。
その中でも白磁は「磁」の文字通り、「磁器」に分類されます。

まず、「陶器」は土を主な原料として、900℃~1300℃の低めの温度で焼かれます。「土物(つちもの)」という別名があり、ザラっとして温かくやわらかい印象で吸水性があります。手で叩くとコンコンと鈍く低い音がします。熱伝導率は低く、熱しにくく冷めにくい特徴があります。

対して「磁器」は石を砕いて粉状にし1200℃~1400℃の高温で焼き上げたもので「石物(いしもの)」とも呼ばれています。白くツルツルとした硬い質感で、手で軽く叩くとキンキンと金属のような高い音がします。耐久性があるので薄く作ることができ、光を透過させることができます。熱伝導率が高く、吸水性はありません。

その磁器の中でも「白磁」は鉄分の少ない、長石やカオリンを主原料とする白い素地の磁器を指しています。釉薬(ゆうやく)も透明度が高く、絵付けなどの装飾もされないものが多いです。
そのため、白さや形そのものが主役になります。
また、白磁の白は単なる無色ではありません。焼成によって生まれるわずかに青みを帯びた白、光を受けたときのやわらかな反射など、白磁は色を抑えることで形や光を引き立てます。
だからこそ、ほんの少しの歪みや厚みの違い、ろくろのわずかな乱れも、そのまま表に出てしまいまい、装飾で隠すことができない分、つくり手の技術がそのまま現れる世界だと言えます。

余分なものを削ぎ落とした美しさを楽しむ「白磁」
その白磁を極限まで追求し続けたのが、今回ご紹介する「井上萬二」です。

次回は、なぜ井上萬二作品はあたたかいといわれるのか。
その理由を見ていこうと思います。

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